2013年映画ベスト



順不同。
今年は最後の最後までくるくると印象が上書きされまくる稀有な年でした。もう絶対「ゼロ・ダーク・サーティ」とか入ると思ってたのに、気が付いたら忘れてたっていう…。「もらとりあむタマ子」入れたかったよう。
そういうわけで、上書きされずに残った10本です。
黒沢清様はどっち入れようか悩んだのですが、打撃音がいまだに耳から離れてくれないこっちにしました。
あと今回、まだ一般公開してないやつを一本入れてしまったのですが、もうこればっかりはしょうがない。こればっかりはしょうがない(2回)。みなさん、公開されたら絶対観に行ってくださいね。


ちなみに今年のザ・モスト・情けない見逃しは何をおいても『コンプライアンス 服従の心理』なんですけど、いま公開してるよって言われたらやっぱり観に行ける自信がなくて、最終日までうじうじ悩んでるような気がします。


そんなこんなで、みなさまどうぞ良いお年を!


(以下、10作について細かく書いたので、お暇な方よろしければ。)


マーサ、あるいはマーシー・メイ
一年中喉の奥に引っ掛かって抜けない映画でした。
神経の軋みをそのまま再現したような音響とか、急転する幕切れの不穏さ。思いだすたび騒騒しています。


フッテージ
死霊館』の方が出来は上です。んなこたわかっています、わかりきっているんですけれども!
スナッフフィルムの厭〜な感じ、フィルムに「取り憑かれる」描写、そして最高な音楽。サントラを買い、収録されていない楽曲もアルバム買い集めるほどに入れ込んでしまったりして。
とにかくワタクシ的「ホラー」のツボを突きまくり、ホラーへの偏愛がぎっちり詰め込まれていたこの作品を愛さずにはいられませんでした。
だいすきだいすき、だいすきいいいー


○ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト
前述のとおり。
単純なストーリーと殴り合いしかない短編、そこにアクション映画の恍惚がすべて詰まっています。ひたすら気持ちよく気持ちよく気持ちよい。ソフト化してくれ…。ていうか7thCodeと併せて公開してよー


○カルト
あまりにも愛しすぎて、一度も揺らぎませんでした。
順位はいつもつけてませんが、これが2013年のベストです。
俺たちの闘いはこれからだ!も、他人事とは思えませんでしたしね。


○The World's End
毎年恒例になりつつある、したコメの映画秘宝祭にて。
エドガー・ライトのベストに躍り出てしまいましたが、これで大号泣したワタクシはかなりアレな人間だなあと遠い目になる一作でもあります。
しかし、俺は別にカワイソーじゃないんだよ!ほっとけクソが!


○ロード・オブ・セイラム
ロブ・ゾンビを選ぶとは、自分でびっくりです。
でもあの冴え冴えとした冬の空気と、ゾンビの嫁好きすぎ感と、いぬと、画面を支配する神経症的な恐怖に感じ入りました。
とても好きな作品です。


○わたしはロランス
あんな終わり方されたらベストに挙げないわけにはいかない。
「農場のトム」が激しく観たいです。TIFF行けなかったので。
たのむ公開してくれ。


ビル・カニンガム&ニューヨーク
音楽の使い方とかがじつはあまり好きではないのですが、ビル・カニンガム氏の透明な情熱があまりに尊く、観ている間じゅう涙が止まらないという異常事態に。
ファッションに興味がなくて、そこにひそかな苛立ちを覚えている人ほど「そのままでいいよ」と背中を押される映画だと思うので、できればオシャレ映画として宣伝しないでほしかった…。
これは今年の掘り出し物だったなあと個人的には思います。


ハンナ・アーレント
今後、私にとって必要になる言葉、必要になる態度がぎっちり詰まっていました。


○オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
最後の最後にどかーんとやられた…。
どこがどう、といちいち挙げる映画ではなく、とにかくすべてが堪らない美意識に貫かれているんですが、その美意識を伏し目がちに提示するジャームッシュがとにかくチャーミングで、クスクスしっぱなしでした。昔はそういうアンビバレントな態度見てると疲弊してしまっていたのですが、これはワタクシが歳とったせいなんですかね。
それはそれとして、あまりにも的確にハートを撃ち抜いてくださるので、とうとう禁断の「映画ファッションを真似る」に手を出しそうだよ…。それだけはやったらダサいと、15年以上必死で耐えてきたのに、んもー!
だれかアイボリーの皮手袋、いいやつ見かけたらおせーてくだせい。トホホ。


DVDスルー作品では、「KILLER JOE」と「バーク・アンド・ヘア」*1が、見逃しDVDでは「少年は残酷な弓を射る」「気狂いピエロの決闘」がそれぞれベスト級でした。


ちなみにワーストというほどアレな映画を観ていないので、2014年はもっともっと地雷踏みたいなあと思うんですが、「グレイヴ・エンカウンターズ」は本気で怒った。「エビデンス -全滅-」とかは怒るまでも行かなかったけど、「グレイヴ〜」の安さには本気で腹が立ったにゃあ。実力ないのにスカしてる感じがいちばん嫌いなので。


そして2013年いちばんモヤモヤした映画は「パラノーマン ブライス・ホローの謎」でした。過激なこと言うと、これを躊躇わずベストに選べる人とは仲良くなれなさそう。そのくらい(その惜しさ故に)色々モヤモヤしたのでした。

*1:正確にはバルト9で深夜レイトショー1週間限定公開してたらしいですけど、行けるかアホ!