2013年5月に観た映画



<映画館>
死霊のはらわた(リメイク) / クロユリ団地 /


<映画館以外>
選挙 / 精神 / LOFT 完全なる嘘 / ハンガーゲーム /
フロンティア / ブラインドネス /


★印象に残ったもの
なし


<映画館>
死霊のはらわた(リメイク)】[109シネマズ(川崎)]
あかん。作品の存在自体を忘れてしまえば済む話なんですが、私がどうにも苛立ったのはラスト。スタッフロール自体がこうした作品にそれ?みたいな芋っくささを感じたのだけれど、最後のオマケのダサさと言ったら、最悪だよ。Nで観た『SUCK』のスタッフロールに匹敵する。
本当に「普通に良くでき」ている作品でした。しかし『死霊のはらわた』という映画は、「普通に良くでき」ている、とは全く反対のベクトルで成立している稀有な作品なので、そのキモごとリメイクできないのであればそこに意義は見いだせない、という感じです。ブルースさんも!どこが!なにが!“ぐるーヴぃー”か!めっ!


クロユリ団地】[マリオン(有楽町)]
まず、ともかく面白かった。とても面白かった。
脚本に三宅隆太さんがいるので、『七つまでは神のうち』観てると「ああ!」って思うと思う。
ホラー映画って、死んだ人が出たり、人がぽっぽと死ぬ割には、あまり「死」を身近に感じることはない。のだけど、本作は久しぶりに「死ぬこととはどういうことか」について思いをはせるし、それがすごく生々しく感じられた。
あっちゃんの熱演がすごく好ましくて、かつ綺麗なので安心して哀しくなれるし。
そう、この映画、すごく悲しいお話でした。そして優しくないお話でした。
「死ぬこと」への恐怖に焦点をあてているので、当たり前なんですが。誰も救われないし、誰も幸せになれない。死や、孤独への恐怖に掴まって閉じ込められてしまう。「どうしよもうないこと」「理不尽なこと」ってあるし、癒えない悲しみもあるんです。
ただ、いわゆるJホラー的な恐怖、小中理論的なアレをジャンキー的に求めている場合は、ちょっと肩すかしくうかも。基本的にホラーが好き、ホラー映画自体をこよなく好むというならむしろオススメです。
クロユリ団地観てて思ったのが、「最近、小中理論どまんなかみたいなの観てないなあ、観たいなあ」とずーっと思っていたけれど、実際それをホイと差し出されたら、たぶん私はそれを「面白い」とはもう感じないんだろうなあと。
脚本が丁寧なのがとても良かったです。面白いなあと思ったのが、話形自体はすごーく古典的なんですよね。




<映画館以外>
【精神】[DVD]
「選挙」のときと違って、「精神」では想田監督のリアクションが入ってしまっているのも面白い。唐突に始まったある患者さんの告白に、小さく「え?」と聞き返す想田さんの声が、ものすごく生々しかった。ノーカットでそのまま延々と彼女の告白は続き、それをそのまま映画にぶち込んだ監督は、とても信頼できる方だなぁと思った。そのシーンはとにかく辛い。さらに、同じような思いをした人は彼女だけでないだろうなと思ったらただただ引き裂かれるような悲痛さで、どんな言葉を尽くしても、この瞬間を捉え続けた映像に優るものはないだろうと思う。
かと思えば、最後の最後に登場するおじちゃんの逞しさ(というか、はた迷惑さというか…)には唖然とさせられたりもする。現実社会というのは、本当にどうやったって複雑なものなんだよなぁ


【ハンガーゲーム】[WOWOW]
ひどい、というかティーネイジャー向け。バトロワと比較したら失礼


【フロンティア】[DVD]
あの片輪の妊婦少女が健気で可憐で泣けました。あと小さい王国でグダグダ威張ってた男どもの脇が甘いのもなんかリアルでいい。最後の女だらけの銃撃戦も、誰も何も考えなく咆哮しながら感情の赴くままに撃ち合ってて、なんかリアルでいい。
主演女優がずっとヤク中みたいに小刻みに震えてる小芝居がちょっと鬱陶しかった。殴りつけたくなる。
というわけで、面白かったです『フロンティア』。フレンチホラー=大仰でイモだけど愉しい、という図式ができあがりつつあります、私の中で。


ブラインドネス[DVD]
面白かったんだけど、どうにも抹香臭いのがな…。あちらの方たちはとにかく神様持ち出さないと倫理の最終ラインについてすら語れないのかと。道徳をアウトソーシングする宗教というシステムはよく考えられてるなぁと思うけど、弊害もデカイのなという胡乱な感想しか出てこん。やはり『ゾンビ』は偉大だ。