2013年11月に観た映画



<映画館>
セブン・サイコパス / キャリー(リメイク) / 武器人間 / サプライズ /
悪の法則 /


<映画館以外>
チャイルドコール 呼声 / フリア よみがえり少女 / エイリアン・バスターズ /
ピープルvsジョージ・ルーカス /
メリダとおそろしの森 / ディスコード / サスペクト・ゼロ /


★印象に残ったもの
<映画館>



<映画館>
セブン・サイコパス[チネチッタ(川崎)]
すごく練られた脚本に先導され、曲がりくねった問答の末に「サイコパス」たちが選び取る世界の優しさと美しさ。澄んだ決意の尊さに、泣きました。そう、暴力に倦んでしまった男を救ったのは、調子はずれなりに世界に手を伸べ続けて、いいかい、良く見とくんだよってケリの付け方を教えてくれたクリストファー・ウォーケンだったのです。泣くはずないと思っていたのにおいおい泣きました。良作。
ただちょっと気になったのが、監督・脚本のマーティン・マクドナーって「ウィー・トーマス」のひとなんですけど、そのことがあまり触れられていない点。公式サイトやパンフにも(戯曲やってたことはさすがに書いてありましたが)原題が記載されるのみで、「ウィー・トーマス」のタイトルで日本でも上演されたことは書いてなかった。初演は長塚圭史が演出してけっこう話題になったんですけどね。ううーん。わたしも初演みてけっこうびっくりした覚えがあるので、宣伝に使っても損はなかったと思うんだけど…。まあ役者の名前だけで呼べると判断したんでしょうけど、それでいいのか。
あ、あとそれでいいのかといえば、これを観ておいて「90年代の香りがするオフビートコメディは古い」くらいしか言えない評論家ってどうなの。評論家なのそれって。


【キャリー(リメイク)】[109シネマズ(川崎)]
せんせいとおかあさんがよかった。(せんせいが女子を叱るシーンの個人的な事情入ってる感とかすごいなあとおもったけど、あれ要るかな…)キャリーがしょっぱなから捕食者の目をしていてひええってなった。クロエさんはドレス縫うシーンがいちばん光っていらして、プロム炎上はドウェイン・ジョンソンのようでした。それはだめだよ。
よくもわるくもうすっぺらい感じで、ジュリアン・ムーア好きには嬉しいっちゃあ嬉しいけど、まあ彼女脱いでないのでその程度だし、それならむしろ実は生き延びていたキャリーのその後をジュリアン様にやっていただく映画の方がみたかったよ。というかんじです。妊娠伏線じゃないんかい!女監督なら褒めると思ったらおおまちがいだかんなー!
ちゅーか私デパルマ版「キャリー」ものすごく好きだったことにいまさら気づきました。いや好きだったんですけど。こんなにこんなに好きだったなんて。


【武器人間】[シネクイント(渋谷)]
ゴミ箱落ちた後が最高でした。バイオショックのステージをFallout3でやってるみたいなわくわく感。たのしいたのしい。記録映画風にしたいのはわかるけど手ブレはいらんかったなあ。もっと武器人間をよくみせておくれ。ああいう地獄絵図だいすきなんですからして。ああんフィギュアほちい


【サプライズ】[シネマカリテ(新宿)]
とってもよくできた、ゆうしゅうな皆殺しホラーでした。きちんとしてます。


【悪の法則】[109シネマズ(川崎)]
『ブラッド・メリディアン』(私の初マッカーシーでした)初読時の衝撃がそのまま映像として甦っていて、リドスコさんのあまりのクールさに鼻血を吹いて卒倒しそうになりました。
スクリーンの背後で表面張力MAXに漲る死臭に陶然。評価が割れる意味がわからない。
ちなみに私は完全にマルキナの人工美に(あのメタリックな爪!見た?)やられてしまって、さらにカウンセラーやローラ(あのカマトト女!「値段?知りたくないわ!」だってさ。死ぬよ、そりゃあ。つうか、だったら死ね。)がみっともなくて仕方なくて、マルキナやウェストリーが大好きで、ライナーのあさって向いた純情もちょっとだけ好きで、だから「お前を失いたくない」と項垂れる彼に一瞬だけ見せたマルキナの動揺もとてもとても好きでした。号泣するカウンセラーのほっぺたには「しゃもと」ってマジックで落書きしてやりたいなってちょっと思っちゃったよね。なのでカウンセラー可哀想とかぜんぜん思わない。そういうのは全部ムダなんだよ、世界はそんなふうにできてない、ってこの映画は言ってるわけじゃないですか。そんな難しい話じゃない。


ゲームのプレイヤー(自覚できたにせよできなかったにせよ)たちに用意される、「それ相応」の死に方。物凄く複雑に、緻密に提示されていくゲームのルールと呼応するゲームの進行。「まだ掛けなくちゃいけない電話があるし、それに可能なら昼寝もしたい」。
結局は冒頭で繰り広げられたチーターの狩りが、そのままリフレインされているのだということを随所で思い起こさせる巧妙な脚本。
そして何より、あの雑魚同士の銃撃の美しさ。さらにはトラックに穿たれた穴から噴き出す肥やしを当たり前のように塞ぐ、塞げるそのしぐさの、”あたりまえさ”ゆえの優雅さ。溜息出ちゃった。彼らはね、穴を塞げるんですよね。それが生きるということだから。彼らには彼らのゲームにおけるポジションがあり、そこを徹底して守りながら粛々とゲームに興じていることが、あの「枝を折って穴を塞ぐ」という映像にすべて凝縮されている。そしてその姿は、この上もなく美しい。ああ死ぬ。
ところでマルキナがアンジー、ローラがナタ子みたいな話があったらしいけど、これ実現しなくてよかったよ…やだよアンジーなんてまんまじゃん。そのまんま死ぬまで一本勝ちしそうな人はだめです。あとナタ子じゃ観客がウザがって同情してくれないから駄目だったと思う。あれは天然物のレイチェル・ベリーだもの。
ああ、すべてが吉と出た映画だったんじゃないでしょうか。素晴らしいです。




<映画館以外>
【チャイルドコール 呼声】[WOWOW]
おもしろかった…。観客の興味を引くための仕掛けが嫌らしくなく、ストレスなく最後まで観られる。落としどころはまあそれしかないだろうなという感じなんだけど、とにかく1時間半心がギリギリ軋むのは見事としか。北欧の冷たいどん詰まり感も良い。良い厭ミスでした。
あとノオミ姐さんの「大丈夫なのかこの人」感すごい。もう一瞬たりとも信用できない。


【フリア よみがえり少女】[DVD]
ホラーとかサイコ・サスペンスとしてはかなり良く出来ているんですが、多分いちばん罪深い人は断罪されないのがなあ。監督がそのへんわかってやってるというよりは「無頓着」なので、ナンダカナーという思いは拭えません。面白いんだけどね。
そして何より子どもが不憫すぎて泣けてくるので(私は最後の方こころが痛みすぎていったん休憩したしツイッターに逃げた)、そういうの苦手な人は超注意。


【ピープルvsジョージ・ルーカス[WOWOW]
笑い死にするかとおもった。他人事なので笑っていられるけれど、これが麗しのあの映画やあの映画だったら…そう思うとよけい笑えた。ばかねえ(愛をこめて)


メリダとおそろしの森[WOWOW]
前半の幸せな娘時代はメリダに感情移入しっぱなしなんだけど、結婚問題が持ち上がってからの軋轢はむしろお母さんの「これまで」に想いを馳せてしまい、どっちの言い分も判るだけに辛くなったり、男性の完璧な排除ぶりは逆に申し訳なくなる位だったりと色々ピクサーとしては珍しい作り。それがいい。
説明をすることを(敢えてなのかな?)避けているので、お母さんの部がだいぶ悪くなってしまったのが残念だったなぁ。お母さんが「あーこら私もあかんかったわ」って思ってるとき、お母さん言葉喋れなくなっちゃってるからね!
それからメリダが演説をぶつジーン、あそこはお母さん助けなくて良かった。「好きにやってこい!」って背中叩かれて、母を助けるためにメリダが火事場の馬鹿力出す、みたいなほうがよかったんでないかな。
うまいなーと思ったのは、メリダが「ごめんなさい」を言わないのでじゃっかん苛ついてたんですが、それが彼女のケツの青さを物語ると道時に成長の証にもなっていたと、最後の最後でわかる仕掛けになってたこと。ただその辺を汲まずに、喋ったセリフだけを見れば、一方的にメリダが謝った(つまりお母さんが正しかった、メリダは若かった的な)と受け取られかねず、その辺りの誤解でこの映画はだいぶ損してる気がします。実際にはお母さんだって言葉を話していないだけで、すごい反省してるんだけどね。


【ディスコード】[WOWOW]
雑。誰の子でもいいんですけど、それが何か?という。ほのめかしたところで怖くも気持ち悪くもないんだけど…。


サスペクト・ゼロ[WOWOW]
わたしなんでこれみたんだっけ・・・ってなってさいごのほうよだれたらしながらみていた。つまりあまりおぼえていない